「木を生かす」ための剪定 ~枝おろしと枝透かし~
庭木が枝葉を茂らせ少々うっとうしくなってきたからといって、いきなりハサミを入れてはいけません。剪定は多かれ少なかれ木に負担を与えるものなのです。時期を間違えると木が衰え、場合によっては枯れてしまうこともあります。
剪定に適した時期としては、常緑樹は春先か秋、落葉樹は葉の落ちている冬がおおむね剪定に適している時期ですが、木の種類によって異なるので、知り合いの庭師に聞いたり、市販のマニュアルなどを参考にしたりしてください。
また、一口に剪定と言っても、その木をどのようにしたいかによって方法が異なります。例えば、大きく育ち過ぎた木を小さく仕立て直す。このような場合には「枝おろし」と言って、太い枝を幹のつけ根の部分からノコギリで落とす方法が取られます。公園や街路樹などで見かけたことがあるのではないでしょうか。あまりにもさっぱりし過ぎて、この木、大丈夫なのかなと思ったことでしょう。でも心配ありません。すぐに新しい芽が出てきます。ただし切り口からばい菌が入り腐ってしまう場合があるので、切り口に防腐剤を塗っておくことが必要ですね。
伸び過ぎたり込み過ぎている枝を適度に透かし、美観の保持とともに日当たりと風通しをよくするのが「枝透かし」です。これには透かす程度によって「荒透かし」や「小透かし」などの方法があります。
荒透かしは、大透かし、または野透かしなどとも呼び、木の骨格をつくる枝で、もっぱら樹形を乱したり生長を妨げたりするため、私たちは「忌み枝」などと呼んでいますが、そのような不要な枝を中心に抜いていく強い剪定です。
長く伸びた枝や他の枝と絡んでいる枝、幹の方向へ内側に伸びている枝、下向きに伸びている枝などが忌み枝で、これらは元、つまりつけ根から抜くようにして樹形を整えます。
小透かしは、主に枝先に行う細かい剪定で、枝や葉がついている分岐点のところで、外側の枝や葉を残して挟むことが大切です。内側の枝や葉を残すと枝が幹のほうに向かって伸びて、著しく樹形が乱れるのです。この小透かしは私たちの腕の見せどころ。枝先がブツブツとならずに、その木が本来持っている特長を生かして、すっきりと美しく整えるのがポイントとなります。